1997年にインパルス設立40周年記念の一環として、レコード会社の依頼を受けて『ヴィスタ』コレクションと命名した10枚のシリーズを編んだ。

そして、今年はサン・ラーの2タイトルを柱として、デレク・ベイリー、グローブ・ユニティ、アルバート・アイラー、セシル・テイラー、ミルフォード・グレイヴスなど、今でいうインプロ系12タイトルを『the…music』
という名のもとに監修した。
どれも、ちょっと入手が難しいものばかりなので、ファンには喜ばれると踏んでいる。

タイトルの意味は音楽をカテゴライズする意味からの脱却を図っている。
ヴィトゲンシュタインは、言葉を発した途端に、すべての意味を限定してしまうと言っている。
また、上記シリーズは、来年来る、『ジャズの10月革命』40周年の前哨戦的意味合いも持たせているが、それをあからさまにはしていない。

Musikからの朗報がある。
数カ月に渡って交渉を重ねていたピアニストのポール・ブレイと映像アーティストのキャロル・ゴスが70年代に作った名レーベル「IAI」との契約がまとまり、現在は、19タイトルのマテリアルの到着を待つばかりという状態にある。

ブレイがゲイリー・ピーコック(b)、故バリー・アルトシュル(ds)と日本でライブ録音した『ジャパン・スイート/日本組曲』は、スイング・ジャーナル誌のゴールド・ディスクを獲得して、ピアノ・ファンの注目を浴びたのは、記憶に新しい。

即興シーンの重鎮であり、現在でも最も重要なサックス・プレイヤー、スティーヴ・レイシー、今年没後10周年となって数多く貴重な作品が出されたサン・ラーの貴重なソロ作などを有している「IAI」もまたモダン・ジャズの世界を新たな領域まで広げた名レーベルの一つとして、70年代を、ジャズ史を、インプロ・シーンを語る時外せないものだ。

リリースの予定は11月新譜として出荷出来るよう鋭意努力中。
詳細は近日中につまびらかにするが、今からちょっとでも多くファンの間での口コミを乞いたいところ。